最後の著書「植村直己 妻への手紙」

最後の著書「植村直己 妻への手紙」

2019.03.30

どうも。当サイトを運営している「みっしー」です。

植村直己シリーズは第六回目。これが最終回となります。

今回ご紹介する「植村直己 妻への手紙」は植村さんが冬期マッキンリー(別名:デナリ)で消息を絶った1984年から18年後に出版されました。

作品タイトル「植村直己 妻への手紙」から分かるように、この本は植村さんが冒険中、妻「公子さん」へ送った手紙をまとめたものです。

収録された手紙は公子さんと婚約したあたりの1974年から、マッキンリー登頂のためにアラスカへ旅立った1983年の12月末までです。

そして翌年の1984年2月にマッキンリーで消息を絶ちます。

本物の手紙

妻の公子さんに宛てた手紙ですから、かなりプライベート内容がそのまま掲載されています。

プライベート過ぎて内容が分からない部分もあります。

例えば「○○さんにあれこれを届けてほしい」とか、「○○さんにお礼を伝えてほしい」など。

また誤字脱字も原文のまま載せていますから、読みにくい部分もありますが、本物の手紙を読んでいるような感覚になります。

そういった意味では何となく後ろめたいというか、背徳感?のような気持ちもありつつ、「植村さん、ごめんね」と思いながら読み進めました。

なので、この本の出版については公子さん、相当悩んだと思います。

手紙と一緒に送られてきた現地の風景画なども収録されていますし、冒険記として出版される日記には書かれていない心境なども書き留めてあります。

より深く植村さんを知ることができる本になっているので、私としては公子さんが出版に踏み切ったことに感謝しています。

あとがき

「植村直己 妻への手紙」を読みながら、植村さんの今までの冒険を振り返ることができました。

マッキンリーへ行く前は、アメリカのミネソタで野外学校のインストラクターをするのですが、そういった「指導者」として生きる道もあったのではないかと思います。

もしくは極地や、山岳の「研究者」などですね。

犬ぞりにも秀でているので、カナダの犬ぞり競技の選手も最適なのではないかと思います。

偉大な功績を築いた冒険家ですから、ここで違う道を歩んでいたら……とも思うのですが、今となってはどうしようもありませんし、植村さん自身が望まないでしょう。

植村直己特集として第1回から6回まで、私の大好きな植村さんの著書を紹介しました。

第1回「くじけそうな時に読んでほしい!「青春を山に賭けて」書評」

第2回「エベレストに命をかける!「エベレストを越えて」書評」

第3回「エスキモーと日本人はそっくり!?「極北に駆ける」書評」

第4回「氷の大地に置き去り……「北極圏1万2000キロ」書評」

第5回「氷との戦い!「北極点グリーンランド単独行」

第6回「最後の著書「植村直己 妻への手紙」」

植村さんの著書はこれで全てです。

ほかに別の方が書いた植村さんにまつわる著書や、植村さんを題材にした映画などもありますが、そちらは見ていません。

植村さんの冒険はノンフィクションですから、本人が書いたものを見たいという考えがあるからです。

植村さんの足跡を辿るもうひとつの方法として、兵庫県豊岡市に植村さんを顕彰する施設「植村直己冒険館」があるので、1度行ってみたいです。

植村さんの本をもとに作った独自の年表があるので、次回はその年表を当サイトに書きます。

興味がある方はそちらもご覧ください。